前回はチーム成績でしたが、今回はポジション別やチーム全体の総括、そして来年への展望もここで総括。
Ⅰ ポジション別総括
基本的には4-4-2、林をトップ下に置く4-2-3-1もあったが、林以外でこのポジションを務めた選手が少ないので、今回は4-4-2を前提とします。
※今シーズン同ポジションで最も出場試合が多かった選手がピンク。
ゴールキーパー
| 福永 恵梨香 |
| 山下 莉奈 |
| 西中 麻穂 |
| 石田 心菜 |
福永、山下はリーグ戦、カップ戦と全く同じ出場時間だったが、皇后杯の2試合分福永が多く出場。26試合で61失点、1試合平均2.3失点という成績だったが、GK云々というよりはディフェンス陣全体に問題があった。失点の約4割の比率を持つセットプレー以外を振り返っても、ファインゴールやDF陣のミスも多く、1対1のシュートストップは福永、山下だけでなく、ガールズ登録だった西中、中園にも多く見られたので、ディフェンス面だけ見れば、ハイボール処理以外は特に問題は無かった。
反面かなりの課題はキック精度。ダイレクトでなければ距離を出せないし、距離が出せても精度が低い。時としてロングカウンターの起点、またそうでなくとも自陣回帰の為の必要なピースとなるだけに、『ボールを蹴る』ということに関しては、今後の課題の大きな1つか。
~19年展望~
前述した課題はもちろん、最終ライン設定が2年前のように高く、その分GKの守備範囲も広くなることは予想出来る。またセンターバック陣に突出したスピードがある訳でないので、センターバックの裏のスペース処理はもちろん、最終ラインのコントロールなどの調整も必要に。新たな課題として、判断力を突き付けられる1年になりそう。
センターバック
| 松原 優菜 |
| 筒井 梨香 |
| 田畑 晴菜 |
| 2nd |
| 脇阪 麗奈 |
| 宝田 沙織 |
昨シーズン、ガールズと並行してシーズンを戦っていた筒井がチームトップの出場数。間違いなく今シーズン最も成長した選手といえる。松原優が左に入ることが基本だったが、序盤と終盤に負傷離脱。序盤は脇阪が務めていたが、終盤はその脇阪も負傷、16歳でまだまだ経験の浅い田畑を大一番で起用する訳にもいかず、ゲームスタート時点では、宝田を最終ラインで起用せざるを得ない状況に追い込まれてしまった。
昨年と比較するとGKとの連係ミスによる失点は減少したが、昨年よりライン設定を大幅に下げなければいけない、という理由もあるので、昨年の課題が改善されたかどうかというのは、来年に持ち越し。
~19年展望~
前述したが、来季は敵陣でのプレーも増える分、ラインを上げてその裏を取られることも多くなる。2部になると再度高く設定し、1部では低く設定。では積み上げなく終わってしまう。2020年に1部で戦える為に、個人のスキルアップはもちろんのこと、主戦の2人はDFリーダーとして、どこまで失点を減らすことが出来るのかを考える必要がある。
右サイドバック
| 前川 美紀 |
| 古澤 留衣 |
| 善積 わらい |
| 2nd |
| 井上 陽菜 |
| 藤原 のどか |
善積と古澤の同ポジションでの出場時間はおそらく大体同じだが、トータルでみれば善積が1番多いか。開幕スタメンは前川だったが、井上がボランチとして定着したこと、また前川の負傷もあって後半戦は古澤、善積の2択に。
ドリブラーとの1対1には粘りを見せることが出来たが、高さではやはり脆さをみせてしまい、最もセットプレーの餌食になったポジション。また左サイドと比較すると、どうしても攻撃面の貢献度が低く、中盤戦から終盤にかけては、『セレッソの左サイドは厄介だけど、右サイドはボランチ横までなら大丈夫。』という見え見えの対策を取られた。
~19年展望~
例年同様に最後まで固定出来なかった反面、善積は守備での奮闘もあったし、これまで守備面でのハンティング能力の高さが目立つ反面、攻撃面での貢献が高いとはいえなかった古澤も、触ればゴールというクロスを終盤戦は放つなど、成長の証は残せた。左サイドと違い、ボールを持って何かするという芸当がある訳あないので、『当たり前のことを当たり前に』という忠実なサイドバックとして期待したいところである。
『当たり前のことを当たり前にこなす』。これはサイドバックとして最低限であり、また最高峰のタスクである。
左サイドバック
| 森中 陽菜 |
| 北村 菜々美 |
| 2nd |
| 松原 志歩 |
| 善積 わらい |
序盤は完全に攻撃の中心だった北村も、順位変動が重要視されてきた後半戦は、1ゴール1アシストと数字を伸ばすことは出来ず。前述したが、後半戦は松原との左サイドに良い形でボールが入る回数が極端に減ってしまい、厳しい局面でのプレーが増えてしまった。意図的に2列目との縦関係を替えたりしたが、あくまで人を替えただけなので効果的ともいえず、森中がレディース登録になっても、期待していた数字面での貢献は出来なかった。
~19年展望~
セレッソのストロングポイントであることは間違いないが、間違いなくどのチームもこれまで以上に対策をしてくる。森中次第ではあるが、パーソナリティを全面に押し出した形(ドリブル突破等)だけでなく、ビルドアップで周囲を押し上げて相手を崩したり、リーグ戦のアウェイ・ノジマ戦の2得点目のように、「後は決めるだけ」というフィニッシャーとしての役割も担って欲しい。
ボランチ
| 脇阪 麗奈 |
| 井上 陽菜 |
| 林 穂之香 |
| 藤原 のどか |
| 宮本 光梨 |
| 2nd |
| 古澤 留衣 |
脇坂、井上は他のポジションでの起用も多かったこともあり、林がトップ。古澤がリーグ戦ではアウェイ・仙台戦以外は右サイドバックで、宮本と藤原もレディースでの出場機会はなかったこともあり、ほとんどの試合を脇阪、井上、林が担当。
脇阪、井上は試合をこなすごとにボランチとしての幅は広くなっていた一方で、チームの大黒柱である林が、本来のプレーを見せることが出来ずに終わってしまった。終盤戦こそ相手のターゲットが林から北村・松原に移ったことで、プレーの窮屈さは改善されたが、1部チームの1列目、2列目の守備強度の高さをより感じさせられた部分ではある。
~19年展望~
サイドバック同様に、1部と2部では全てのスピードの速さや質そのものが違うことを体感させられたポジション。井上は怪我を治すこと大前提であるが、2部で1部のプレースピードを保ちつつ、攻守のリンクマンになって貰いたいし、脇阪は奪った後の選択肢をより正確、かつ自らもフィニッシュに絡む活躍に期待。大黒柱である林に対する重責を分散する為にも、その周囲のサポートは今まで以上に必要になる、
右サイドハーフ
| 野島 咲良 |
| 2nd |
| 井上 陽菜 |
| 松原 志歩 |
| 宝田 沙織 |
| 矢形 美優 |
| 藤原 のどか |
| 善積 わらい |
| 四海 結稀奈 |
野島の長期離脱が何より痛かった。試合前はもちろん、試合での交代オプションも少なく、最も苦しんだ。守備におけるタスクが多くなり、交代枠の1つをこのポジションで消費することがほとんどで、大外レーンでの仕事をこなす回数がサイドハーフとは思えないほど少なかった。そもそもの攻撃回数が少ないうえに、相手SBとのマッチアップになると後手に回ってしまうシーンも多く、全体的なレベルアップが必要だと感じさせられた。
~19年展望~
井上はサイドバックかボランチで、矢形は1列目で起用したいものの、野島の離脱でそうもいかなくなった今シーズン。皇后杯で復帰を果たした野島以外にも選択肢は欲しいが、ガールズからの台頭も少し時間が必要な様子。固定は難しいかもしれないが、野島をはじめとする現戦力の伸びしろも楽しみではある。
左サイドハーフ
| 松原 志歩 |
| 2nd |
| 森中 陽菜 |
| 北村 菜々美 |
| 宝田 沙織 |
| 矢形 美優 |
| 四海 結稀奈 |
レディースの8番。好不調の波は相変わらずだが、初挑戦だった1部でシーズン4ゴール5アシストは立派。ただサイドバックでも述べたが、後半戦は完全に封じられた。松原、北村、そして主にガールズの主戦だった森中と、この3人が怪我無くシーズンを戦い終えたことは、チームにとってもかなり大きいし、自信にして欲しいところ。
~19年展望~
『打開力』を持つだけに、チームとしてもそこに頼ってしまうし、それは19年シーズンもそうだろう。松原志歩はムラをなくせば2部ではリーグ戦2桁ゴール、2桁アシストも見える。最終ラインもこなす森中も、3部では頭一つ抜けた存在だっただけに、個人的には2部でのプレーを観たい。
セカンドトップ・トップ下
| 宝田 沙織 |
| 玉櫻 ことの |
| 百濃 実結香 |
| 四海 結稀奈 |
| 2nd |
| 林 穂之香 |
| 矢形 美優 |
| 野島 咲良 |
2列目のフィジカル強度を考慮してか、攻守ともに矢形を1列目に残して宝田がセカンドトップの役割、またはリンクマンになることが多かった。17年シーズンも同じようなシーンや試合はあったが、今年はかなりその色が濃かった、リーグ戦4ゴールだったことは、本人は納得はしていないだろうが、もう少し守備の負担を減らしてあげたかった。
玉櫻の長期離脱の為、宝田&矢形以外の選択肢として、一時は百濃や四海にもチャンスが訪れたが、最終的には田中智子をCFとすることが多くなった。
~19年展望~
まだ中学生年代ではあるが、ガールズに面白い選手が多くいるこのポジション。少なくとも高校生年代の選手は、19年シーズンそれなりの結果が欲しいところ。
矢形、野島、宝田、そして再び怪我で離脱してしまった玉櫻。この4人は別格ながらも、誰がどこに入るか?という予想はキックオフ時点にならないと分からない。玉櫻の復帰を気長に待ちつつ、百濃や四海の台頭にも期待したい。
センターフォワード
| 矢形 美優 |
| 田中 智子 |
| 浜野 まいか |
| 2nd |
| 宝田 沙織 |
矢形がリーグ戦4ゴール。昨シーズン2部で5ゴールだったこと、決定率がリーグ9位であることを考えれば、大健闘といってもいい。リーグ戦出場時間496分で1ゴール2アシストと、1部の壁を超えることが出来なかった田中智子も、来年で18歳。更に最終節サプライズのスタメン出場を飾った浜野(登録はDFだが、今季ガールズ含め全てFWで出場)は、来年で15歳。得点数こそ伸ばせなかったが、多くの課題を持ったまま来季へ準備出来ることとなった。
~19年展望~
17年以上に人数を掛けて守るチームが増えてくることが予想されるだけに、これまで以上にボックス付近で相手を剥がすプレーが求められる。浜野もまだ相手を背負ったプレーには課題があるだけに、ガールズでの活動が基本線か。
Ⅱ 苦しんだ2チーム活動
18年のセレッソ大阪は、『トップチーム(J1)、U-23(J3)、レディース(2部→1部)』の3カテゴリーに加えて、新たに『ガールズ』が関西L(男子で例えるならば4部相当)から『チャレンジリーグ(3部)』へと昇格を果たした。ちなみに1つのクラブが3つのチームで有料試合を開かなければいけないカテゴリーに属するのは、2011年のジェフユナイテッド千葉・市原の『J2・JFL・なでしこリーグ』以来であり、4つのチームとなるとこれは史上初だ(笑)。
話を戻すとして、18年シーズンにレディース、ガールズがそれぞれ昇格。レディースの昇格は、以前宮本功氏も語っていたことだが、想定外のスピードだった。クラブとしても様々なステップを踏みつつ、このセレッソレディースを完成させていくという構想があった。
サッカーのピッチ内に関する完成度もそうだが、それ以上にレディースチームの選手の年齢構成や待遇、練習設備の整備などのハード面の準備が、まだ未完成の中での船出となってしまった。準備不足と言われればそれまでだが、ここは嬉しい誤算として捉えたい。そしてうれしい誤算の極め付きが、前述したガールズのチャレンジリーグ昇格。これに関しては、レディース以上の誤算(良い意味での)だったかもしれない。
とはいえ、不安を抱きつつも開幕した18年シーズン。案の定苦しかったのは選手編成。ただでさえ選手層が薄いにも関わらず、ともにミッションの内容が『残留』である為、本来はレディースでオプションとして起用したい選手も、ガールズで起用していた。
選手層の薄さが顕著に表れてしまい、その結果チームバランスが崩れてしまったのがセンターバック。松原優菜がシーズン序盤欠場することが見込まれていたが、そのバックアップが、本来ならばガールズで主戦として起用したい田畑。その田畑も高校1年生で、センターバックとしての経験もかなり浅い。スタートから起用するには荷が重すぎることもあり、経験・実績ともに(セレッソでは)充分な脇阪を1列下げて起用。序盤はこれで対応出来たが、松原優、脇阪が離脱した最終盤は、宝田をセンターバックで起用せざるを得ない状況へと追い込まれ、攻撃のバリエーションを減らしてしまうこととなった。
サッカーには怪我は付き物で、必要最低限の怪我人のマネジメントはチームに必要不可欠だ。特に女子サッカーという競技自体、怪我や体調不良での欠場は男子よりも多い。それを考慮すると、2チームが全国規模のリーグ戦に出場するということは、選手のフィジカル面にかなりの負担を与えてしまった。
ただし、サッカー選手なので負担が無ければ成長は無いし、ましてや同年代の選手とは全く異なるカテゴリーを挑戦出来ているだけに、18年は苦しかったとはいえ、無駄にはならない。
Ⅲ 強化プラン
来季は2部、そしてチャレンジリーグを戦うこととなるセレッソ。湯郷ベルがチャレンジリーグに降格、また昇格チームが無い為、ガールズチームは再び大人たちを相手に戦うことになる。しかし技術面では3部でも高いレベルであることは実証済みだし、フィジカル面でも慣れてきているはず。もちろんレディースチームで戦力になれるか?となれば一部の選手を除くとまだ時間が必要ではあるが…。
そしてレディース。早いもので1期生が22歳を迎える。高校からストレートで大学に通っていた人間は、一つのターニングポイントとなる年齢ではある。短大へ進学し、卒業後にスクールコーチになった選手もいるが、4年制大学に進んだ選手の就職先や進路に関しては、今後毎年1人は出てくるだけに、クラブは全力でサポートする必要がある。またこれは男子にも言えるのだが、高校・大学卒業を機に引退を選ぶことも、一つの正解ではある。
また現在は『セレッソアカデミーに在籍する選手』のみで構成されているが、大阪学芸高校を2種登録チームにしたように、今後は『中学・高校卒業を機に1度セレッソを離れた選手』を迎え入れる動きがあっても良いだろう。※GK石田は大阪学芸高校在籍の2種登録選手
現在の体制で、『他クラブから迎え入れる』というのは考えにくいが、いずれ(何十年先?)そのステップを踏むべきタイミングは来るだろうし、例えば大阪市や堺市にゆかりのある選手を迎え入れるなど、今後クラブとして様々な選択肢を持つことは、決して悪くはない(実行するかどうかはさておき)。
Ⅳ 2019年、ホーム試合は何処で…
2019年の日本スポーツ界の一大イベント「ラグビー・ワールドカップ」。そのキャンプ地にJ-GREEN堺が選出されている。開催期間は9月22日~10月13日。警備上の理由で、使用用途や滞在日程は明らかにされていないが、S1(メインフィールド)は大きく見積もって9月~10月下旬は使用出来ないと考えても良いかもしれない。
本来ならばここで長居という選択肢もあるが、長居球技場(前キンチョウスタジアム)が改修工事の為、ヤンマースタジアム長居の使用も、トップチームやU-23、関西学生サッカーリーグとの兼ね合いを考えると、1試合もしくはU-23との共同開催が現実的かもしれない。またヤンマーフィールドは陸連がメインなので、サッカー関連の事業が使用出来る頻度は年々少なくなっている。
2部なので有料試合でなくとも良い分、普段練習場として使用している南津守でも問題は無いし、16年シーズンは半分程が南津守開催だったが、有料開催に拘るのならば、今シーズン主催試合を行った奈良県の橿原、ならでん。滋賀県の皇子山はもちろんのこと、和歌山県の紀三井寺なども候補にはなるか。とはいえその時期は昇格争いが佳境に入る時期。芝の状態云々はさておき、慣れない場所で複数ホームゲームをこなすよりも、南津守の方がベターであると思うが…。J-GREENがどこまで使用出来るか分からない中、そうでなくともエンターテイメント()性を発揮する運営なだけに、色々と楽しみではある。
Ⅴ 最後に…
12月25日に竹花監督の退任が発表された。個人的に小松塁がガールズコーチに就任した辺りから、人事編成はあるのかなぁとは思っていたので、驚きは無かったのだが…。
個人的に竹花さんのコメントで1番色々と感じたのが
~来シーズンからは新しい監督のもとで、また成長していってほしいです。監督が代わると難しいこともあるかもしれませんが、それがサッカーの世界なので、頑張ってもらいたいです。~
1・2期生が少なくなっていることもあって、レディース・ガールズ全体で見れば『竹花監督以外のセレッソ』を知らない選手がほとんど。これを選手がどう受け入れるか?ということの難しさは、おそらく竹花さんが1番理解していると思うし、だからこそ退任のコメントでこのようなコメントを残したのだろう。
接し方一つ難しい年頃の女の子達を相手に、就任当初はかなり難しさを見せたものの、近年は21歳~13歳と、まず他クラブでは有り得ない年齢層の選手達で戦った。それも男子ではなく、女子で。この無理難題を1部昇格という形で答えたのは賞賛に値するし、本当に感謝している。
個人的な本音を言えば、もう1度『竹花セレッソ』で1部にチャレンジしたい気持ちはあったが、指導者としてのキャパシティを広げる為、他のカテゴリーないし外からサッカーを観るというには、最適なタイミングだと思う。
トップチーム同様に、育成部門にも新たな風が必要になっているクラブ。個人的には少し離れた場所で様々なサッカーや文化をインプットし、セレッソの育成部門で再び暴れまわって欲しい。今まで本当にありがとうございました。