2018年12月4日火曜日

セレッソ大阪18年シーズン総括 コンディション&スケジュール


 第3回。今回は『フィジカルコンディション及びスケジュール』の総括。


Ⅰ 17年シーズン終了後オフ
 17年シーズンが終了したのが18年1月1日。激闘の天皇杯決勝翌日からシーズンオフ。ここで18年シーズンJ1リーグを戦った、全18チームのシーズンオフ期間を比較。

チーム名 活動終了日 一部選手終了日 始動日 期間
川崎フロンターレ 12月3日 12月15日 1月12日 36日
鹿島アントラーズ 12月2日 記載無し 1月9日 37日
セレッソ大阪 1月1日 無し 1月15日 13日
柏レイソル 12月23日 無し 1月11日 18日
横浜F・マリノス 1月1日 無し 1月17日 15日
ジュビロ磐田 12月2日 無し 1月15日 42日
浦和レッズ 12月14日 無し 1月13日 29日
サガン鳥栖 12月9日 無し 1月13日 33日
ヴィッセル神戸 12月23日 無し 1月17日 24日
ガンバ大阪 12月2日 無し 1月20日 48日(41日)
北海道コンサドーレ札幌 12月3日 12月8日 1月15日 41日
ベガルタ仙台 12月10日 無し 1月10日 30日
FC東京 12月10日 無し 1月13日 33日
清水エスパルス 12月6日 無し 1月15日 39日
サンフレッチェ広島 12月2日 無し 1月22日 49日(42日)
湘南ベルマーレ 12月3日 無し 1月11日 35日
V・ファーレン長崎 11月25日 無し 1月8日 43日
名古屋グランパス 12月10日 無し 1月13日 33日
見づらいですが、ご了承下さい。

 オフ期間が最も短かったチームがセレッソ大阪。決勝戦の相手だった横浜F・マリノスは、ACLが無いとはいえ、新監督を招聘したこともあり、セレッソとの2日差の2番目。3番目に短かったのは準決勝を戦った柏レイソル。これはACLプレーオフに挑む為であったが、セレッソとは5日間の違いがある。
 ちなみにガンバ大阪、サンフレッチェ広島は自主トレ及び個人トレーニング(ベテラン以外参加)期間を設けており、それをカウントしない場合だと、サンフレッチェ広島が最もチーム全体練習から遠ざかっていた。


 話を戻す。オフ期間が13日間しかなかったセレッソ。13日間のうち7日間を、翌シーズンに向けた調整に充てるとする。また17年シーズン、国内戦を最も多く戦ったのがセレッソ大阪。前年度クラブワールドカップに出場した浦和レッズと変わらない試合数をこなした。そのタフなシーズンを過ごしたチームのフィジカル・メンタルを1度リセットする為のオフが、1週間程しかないまま、始動日を迎えることになった。

 ルヴァンカップを含め試合数が増え、その上天皇杯ファイナルを元日に開催する今日、そのファイナリスト勝者のオフ期間がかなり短くなるのは、ACLを戦うにはかなりの負担となる。ACLを本気で制覇して欲しいと思うのであれば、少なくと20日のシーズンオフは必要だし、13日間はあまりに短すぎる。更にJ1リーグ中断から再開まで約2ヶ月あったが、中断から2週間後にJFAが天皇杯2回戦を入れたので、長期オフ取りたくても取れないじゃねぇかという。#TASHIMAOUT 


 話はかなり逸れるが、ロシアワールドカップ終了後、国際選手会(FIFPro)は『W杯後は最低4週間の休暇を義務付けるべき』という声明を発表したが、これについてはこれまでの議論されてきた。ただマーケットの規模拡大を目指すFIFAが聞く耳を持つとは思えないので、あくまで議論で終わりそう。
 来年よりクラブワールドカップの開催が4年に1度になるので、天皇杯の日程消化がスムーズになる。ただJFAは元日決勝にこだわりがあるので、そこを動かさない限り過密日程と、オフ期間の課題は消化されないだろう。そもそも横浜FM対セレッソの天皇杯決勝も視聴率6%未満だったし、17年の鹿島対川崎はE-1(東アジア選手権)のなでしこジャパン対中国女子代表に視聴率で負けている。10%以上の数字を出したのは2001年の鹿島対清水まで遡る訳で、当時と比較すると今は趣味娯楽が多種多様になってきている訳なので、わざわざイレギュラーな日程とACL天皇杯代表チームのオフ削ってまで、元日開催にこだわる意味ってあるのか?と…。



・今シーズン、他クラブから獲得した選手のオフ期間
DF  片山 瑛一(ファジアーノ岡山より加入)→39日
MF  高木 俊幸(浦和レッズより加入)→31日
MF  田中 亜土夢(HJKヘルシンキ)→リーグ戦10月終了
MF  オスマル(FCソウル)→11月19日公式戦終了
FW  ヤン・ドンヒョン(浦項スーティラーズ)→11月19日公式戦終了

 今シーズン獲得した選手のうち、3名は前所属クラブのスケジュールを確認できなかったが、それでも30日以上はオフがあった様子。スケジュールを把握出来ている2名と、昨シーズンから在籍している選手とのオフ期間の差は約2週間もある。

 ではオフ期間を延ばせば良いのかと言えば、そういう訳でもない。始動日から25日後の2月10日にはゼロックス杯、14日にはACL第1節がある。その為、強化部はじめ尹監督やスタッフ陣が、ギリギリまでオフを取れると判断したのが、13日間だった。

 強いて言うならば、複数年契約の選手はいるにせよ、17年シーズン終了時で選手の入れ替えを図っても良かった。オフ期間が少なくなる可能性や、ACL進出の可能性は17年シーズンの中盤から予想は出来たし、10月以降でも編成の修正は出来たはずだ。


Ⅱ解決策は無かったのか?

 激闘後13日間しかないシーズンオフで最もハードだったのは、ソウザとヨニッチだろう。ジンヒョンは韓国まで片道2時間程度だが、彼らの場合は乗り継ぎ等もあり、特にブラジルまでは移動だけで1日以上掛かる。これは個人的な考えだが、ヨニッチ、ソウザ、3月に岡山へ移籍したリカルド・サントスの3名は、タイキャンプ後、1月23日以降の合流でも良かったのではないかと思っている。
 仮に天皇杯が準優勝だった場合、1月31日のACLプレーオフがシーズン開幕となっていたので、シーズンオフは10日前後になっていた。その場合、外国人枠の選手は、帰国しても2~3日後にはすぐ来日しなければならないスケジュールとなっていたのだ。シーズン内での優遇は必要無いが、少なくともこのようなオフシーズンの場合、母国で少なくとも10~15日過ごす時間を与える考慮は必要だ。


 ここまで書いたが、オフシーズンに関してはどうにかなったのでは?と思っているし、スケジュール管理に関しては無策過ぎたとも思っている。昨年天皇杯準々決勝を突破した時点で過密日程になるのは決定的だった訳で。

17年シーズン天皇杯準々決勝(10月25日)勝利の時点での確定事項。
①天皇杯準決勝の結果関係なくシーズンオフは15日前後。決勝での敗退だと10日前後。
②ACLでもルヴァンカップGLでも、W杯の影響で超過密日程。
③選手の入れ替えは少ない。

17年シーズン天皇杯準々決勝(10月25日)勝利の時点での予想事項。
④キム・ジンヒョン、山口蛍のワールドカップメンバー選出。杉本健勇が微妙。
⑤リーグ戦中断は5月中旬も、6~7月に天皇杯2・3回戦がある。
⑥杉本健勇の欧州移籍

 ここまでを考慮すれば、シーズンオフに関しては尹監督の首を無理矢理縦に振らせてでも、選手によってオフ期間を分けるべきだった。

例えば天皇杯期間中、シーズンオフに手術をした藤本、澤上を除いた選手で

Aチーム…昨シーズン出場試合が80%以上、及び全試合帯同の選手+
     16-17年オフ期間が短かった選手
ジンヒョン、松田、田中裕、山口蛍、水沼、柿谷、杉本
清武、ソウザ、丸橋、木本、ヨニッチ、山下、山村

Bチーム…昨シーズン出場試合が60%以上及び帯同が多かった選手
丹野、福満、秋山、リカルド・サントス

Cチーム…昨シーズン出場試合が50%未満、及び新加入選手
永石、茂木、茂庭、片山、酒本、舩木、森下、大山、田中亜土夢
沖野、斧澤、西本、チャウワット、高木、ドンヒョン、中島
山根、米澤、山田、安藤

上記3グループに分けて、
1月15日始動…Cチーム(舞洲練習翌日タイキャンプへ)
1月18日始動…Bチーム(タイキャンプ4日目よりCに合流)
1月22日始動…Aチーム(宮崎キャンプでチーム合流)

 これでもAメンバーは20日ほどしかオフは無く、ゼロックス杯に関しては間に合わない選手もいただろうが、天皇杯の段階で満身創痍だったことを考慮すれば、ゼロックス杯に照準を合わせる必要は無かった。


 ターンオーバー制

 フィジカル、メンタル両方で17年シーズンの疲労が残ったままシーズンに入ったこともあり、17年シーズンを戦った選手に怪我人が続出した。杉本健勇、藤本康太は天皇杯よりも前にシーズンを一足先に終わっていたが、オフの大半はリハビリ。天皇杯でも山口蛍、柿谷曜一朗は強行出場で、柿谷に関してはコントロールショットを打つことも出来ずにいた。
 オフ期間に澤上竜二が手術、秋山大地が3月に疲労骨折。清武弘嗣、福満隆貴、ソウザ、田中裕介が肉離れと、3月末の段階で既に怪我人が続出。その後も前半戦は木本恭生や茂庭照幸など、昨シーズンから戦った選手の離脱がとにかく続出した。
 また2月のゼロックス杯から5月5日の長崎戦まで、84日間の約3ヶ月で20試合を戦う過密日程。新加入選手でもヤン・ドンヒョンが強行出場を重ねてコンディションを落とすなど、過密日程ならではのコンディション調整の難しさもあった。

 そのようなチーム事情もあり、ACLではターンオーバーを採用せざるを得ない状況に。バンコクからの移動にも一苦労するアウェイ、ブリーラム戦では、金曜日第2節札幌戦の日に、一部選手及びスタッフが前乗りでタイへ向かい、先に現地で調整を行った。3月に日本からタイへ行った際には、寒暖差はもちろん湿度で想像以上の体力を奪われてしまう。結果ブリーラムで勝ち点を落としてしまったが、ここはグループリーグが決まった時想定していた。

 それはアウェイ広州恒大戦も同じで、怪我人が復帰してきたタイミングだが、万全な選手が少ない為にターンオーバーを採用。アウェイ広州はフルメンバーでも勝ち点を得ることはかなり至難の業で、最終節というタイミングの悪さがあったとはいえ、ベストメンバーの疲労がピークに近い中でのターンオーバーは、当時の状況を考えても妥当ではあるし、広州相手に2点差でゲームを終わらせたことに対しては、得失点差勝負であることを考慮すれば悪くない結果であった。

 世間はターンオーバーをGL敗退の要因としているが、実際はそんな目に見えた叩きやすいものではなく、大混戦のGLを突破したブリーラム・ユナイテッドの躍進と、そのブリーラムを相手にフルメンバーで戦ったホームで、ドローに終わったことだった。これは後日。



Ⅳ 中断期間の選択ミス

 テゲバジャーロ宮崎との天皇杯戦後に10日間のオフを挟んだ。外国人枠のプレーヤーも帰国の途についたが、ソウザは移動を考慮して日本で10日間のオフを過ごした。その後17日のファン感謝デーと3日間の大阪での練習を挟んで、沖縄キャンプへ挑んだ。
 18日に大阪府北部地震があり、その後も余震の影響で被害の大きかったガンバ大阪は練習中止を余儀なくされていただけに、キャンプ地で調整出来たことはプラスではあったが、問題はその場所。
 湿度はマシとはいえ、気温は大阪よりも暑い場所をキャンプ地としたことに対しては、デメリットしか思い当たらない。前述した通り、18年シーズンのカレンダーに関しては数年前に発表されていたので、キャンプ地の選定には時間があったはずだし、仮に元々キャンプ開催の予定が無く、現場サイドからの急遽な要望だったのならば、コミュニケーションに問題があったことになってしまう。


チーム名 キャンプ地 期間
サンフレッチェ広島 韓国(坡州市・大邱広域市) 6/23~6/30
FC東京 群馬県吾妻郡 6/20~6/26
川崎フロンターレ 北海道亀田郡七飯町 6/21~6/29
セレッソ大阪 沖縄県国頭郡金武町 6/21~6/27
北海道コンサドーレ札幌    
ヴィッセル神戸 和歌山県西牟婁郡上富田町 6/25~6/30
ベガルタ仙台 熊本県熊本市 6/29~7/4
ジュビロ磐田 静岡県御殿場市 6/24~6/27
柏レイソル 韓国(昌原) 6/17~6/27
清水エスパルス 静岡県御殿場市 6/28~7/4
鹿島アントラーズ 静岡県静岡市清水区 6/20~6/26
湘南ベルマーレ 福島県 6/26~7/1
横浜F・マリノス 新潟県十日町市 6/25~6/30
浦和レッズ 静岡県静岡市清水区 6/27~7/4
V・ファーレン長崎 オーストリア(ノイシュティフト) 6/18~6/30
ガンバ大阪    
サガン鳥栖 イタリア(マルケ州) 6/12~6/23
名古屋グランパス 岐阜県飛騨市古川町 7/1~7/6

 J1全チームの夏季キャンプのキャンプ地と期間。気候も一応調べはしましたが、ソース先、観測時期がバラバラで信ぴょう性に欠けるところがあるので、表としては省きます。

 札幌、ガンバを除く16チームがキャンプトレーニングを実施。そのうち広島、柏は韓国へ。日本同様に暑さがあった韓国ではあるが、最低気温は20~22℃と昼以降は穏やかな気候。イタリア、オーストリアも暑さはあるものの30℃に届く日はなく、また湿度も高くない分キャンプ地としては絶好だったかもしれない。

 国内に目を向ける。晴れの日が多いが特別暑い訳でもなく、時の栖G、清水と充実した練習場がある静岡県が最も多い。湘南の福島県内というものは、期間以外は完全非公開で行われていたものだが、避暑地であることは変わりない。
 仙台が7月上旬に行った熊本キャンプは、最低気温は22℃~25℃以下になっていたが、それでも最高気温は30℃を超える日が続くなど、夏季キャンプとしては微妙だったか。

 そして沖縄県国頭郡でのキャンプを実施したセレッソ大阪。最高気温は32~33℃。これは熊本とさほぼ変わりないが、最低気温が26~27℃と、まさに常夏。
 シーズンオフのキャンプならば最高の環境だろうが、『夏季』キャンプである。中断オフ期間を長く取っているならまだしも、1週間少しでは完全にコンディションが崩れない。ビジネス面を考慮してのタイキャンプの方が、まだ納得はいくのだが…。


Ⅴ 自転車操業

 中断明け以降も1人復帰しては2人離脱という苦しい台所事情。本隊、部分別メニュー組、完全別メニュー組の3隊が維持されたままシーズンを戦った。16年以降ほとんど怪我が無かった松田陸、W杯に出場した山口蛍など、離脱があまりない選手も離脱する期間があり、シーズン最終盤にはオスマル、高木俊幸も完全別メニューとなった。
 また今夏は記録的な酷暑にも見舞われた。その影響もあり、昨シーズンチーム総走行距離110km未満が8試合に対し、19試合にまで膨れ上がった。ただ予想外だったのが、来日以降は夏が近づくにつれて、コンディションを落としていたソウザが、今年は過去2年に比べるとコンディションをあまり落とさなかった事か。なんで今年は大丈夫なんだよ。

 後日細かく書くつもりだが、今夏フレッシュな選手を補強するということも1つの選択肢ではあるが、シーズン直前にそれなりの資金でオスマルを獲得したこと、またそれ以前にACLがあった為にやや過剰気味だったことを考慮すれば、これは現実的ではない。最も、CLやELに敗退した欧州クラブが過剰要員を複数人放出し、その資金を頭金として新たな選手を補強する、というような手段もあったが…。


Ⅵ フィードバックが出来る体制か否か…

 まともなオフが無いまま迎えた超過密日程。そのシーズンを7位で終えた事に関して、高得点とはならないが、及第点近い点数は付くはずだ。リーグ戦フルタイム出場のキム・ジンヒョン、昨シーズン同様にフル稼働で、攻守において貢献度が高かったヨニッチ、丸橋。この3名に関してはアウォーズで表彰されて欲しいし、その権利はあるはず。

 また怪我人以外のフィジカルコンディション管理に悩まされたユン・ジョンファン監督。残念ながら退任という形になったが、今シーズンのチーム状態で7位まで導いたことは、本当に素晴らしいと感じている。次の舞台でもその手腕がいかんなく発揮されることを心から願っている。願わくば、次率いる時はボールを持った時の引き出しを増やしていただけたら。

 心半ばでユン体制が終焉を迎えた18年シーズン。強化部を筆頭に、現場をしっかりとバックアップ出来ていたか?という問いには、答えるまでもないだろう。
 練習メニューの助言等は、監督・スタッフによってはかなり嫌うので何とも言えないが、少なくとも『夏季』キャンプの選定は、どのような経緯でそうなったのか、またそのフィードバックがどこまで具体的なものなのかは、公にしても良いはず。また営業面から開催自体は致し方ないにせよ、ファン感謝デーとキャンプをあと1週遅らせたら、ソウザは中断期間に母国ブラジルでリフレッシュする時間があった。

 リーグ戦最終節が終わり、約2年ぶりの2週間以上のオフに入るセレッソ大阪。多くの選手入れ替えが予想され、監督・スタッフも一新される。少なくとも今季のスケジュール設定に関しては何の工夫も感じられなかったし、今季の一部の結果には現場にも責任があるにせよ、クラブ内での決定事項の責任の居所が不透明な現状は長年解決されていない。
 理論や理想を『机上の空論』と嘲笑った結果、その理論がスタンダードになりつつあること、また不透明であることが不透明に気付けていない現状。表面上(現場責任者)は変わるが、そこで終わってしまうことを、この部分だけ見ても感じ取れてしまう。

 中断期間以降の出来事のフィードバックが果たして出来る体制なのか、またそれを生かせることが出来る体制なのか、そもそもフィードバックするのか?怪我人とクラブへの疑問を抱えたまま、シーズンを終えることになった。

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